March 18, 2012

夜の刺繍



アウトライン・ステッチは左から右にすすむ。
バック・ステッチは右から左にすすむ。

私が布の表でアウトライン・ステッチを刺している時
布の裏側ではバック・ステッチがすすんでいる。
私が布の表でバック・ステッチを刺している時
裏側ではアウトライン・ステッチがすすんでいる。

日々、私が把握していること、よい、正しい、と思いやっていることは
本当は違うのかもしれない。
私が知らないこと、思い当たらないこと、わるい、間違っている、と思っていることは
実はそうでないのかもしれない。
表で見えていることは、ほんとうのこととは全く違うのかもしれない。
ひとつのことをやりながら、全く別の何かが知らないところですすんでいるかもしれない。

一つだけ同じなのは、どちらのステッチも同じ場所に向かっているということ。

だから、やはりいつも通り
一針一針、ていねいにすすんでいくのがいいのかもしれない。

たまに、目に見えていない、意識にのぼっていないことを
意識しながら。



2 comments:

  1. あやのgoogleアカウントはコメントできないので、母のから。
    同じかわからないけれど、私も最近、自分や社会の既成概念ほど怪しいモノはなかったと思う。でも、意志は必要ではある。それがかたくな過ぎるとかんじがらめになるのは、相撲を見ていて学んだことです。
    全然違ったら失礼〜。でも、刺繍に例えるのは新鮮でした。編み物もそうだね。表編みしてるとき、裏編みが進んでる…。すごい!

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  2. 相撲を見ていて、何を感じたのかな?
    夜更けに刺繍しながら、ふと思ったことをつらつらと。
    きれいなアウトライン・ステッチが刺せた時は、裏もきれいなバックステッチになっている。世の中には不思議なことがいっぱいで、私の意識にのぼっていることはほんの側面にすぎないけど、意識していないところにも通じているというこの絶妙さ。

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